Den som frykter ulven (2004)

Den som frykter ulven (2004)

オリジナルタイトル:Den som frykter ulven

English Title:Cry in the Woods

監督:Erich Hörtnagl

上映時間:106分

製作国:ノルウェー

日本劇場未公開

予告編

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あらすじ

森で遊び回ることが多い孤独な少年カニクが、森の中の一軒家に住む老女が殺されていると知らせにくる。警察がその一軒家に駆けつけると、老女は顔面を鍬で割られた無惨な姿で発見され、カニクはそこで一人の男を見たと証言する。同じ頃、その日で仕事を辞めて帰国する予定であるデンマーク人の警官カーステンは偶然に銀行強盗に出くわすが、人質を取った犯人に逃げられてしまう。実はその人質とはカニクが見た男と同一人物で、彼は子供の頃から収容されている精神病院から脱走してきたエルキと言う名の男だと判明する。

メモ

  • ミステリー
  • ノルウェー・ミステリーの女王とも呼ばれるカリン・フォッスム Karin Fossum の小説 Den som frykter ulven ([en] He Who Fears the Wolf) の映画化。この映画ではフォッスム自身が脚本も共同で担当。
  • ノルウェーの田舎町にデンマーク人の警官
  • ノルウェーの国旗にホワイト塗ってデンマーク国旗の出来上がり
  • 強盗犯を目撃したカーステンによる犯人の印象:ほお骨が張って目が細い。おそらくサーミ人
  • アーチェリーが趣味の少年カニク
  • 黒髪でロン毛のアルキ。ちょっとサイキック系。
  • 森の中を逃げ回る強盗犯のモルガンと人質となったエルキ
  • 「そんなノルウェー人みたいなことはやめろ」自説に自信がなく躊躇するアギーに対するカーステンの言葉
  • 町の名前は登場しないが、劇中カーステンが地図上で指し示す場所は Årnes(グーグルマップ参照)。ただしロケ地は別の場所のもよう。

コメント

今あらためて見てみると、ノルウェー映画界の若手オールスターキャストとも言っていいぐらいの出演者たち。そこに当時TVシリーズ Rejseholdet (2000–2004) で活躍中だったデンマーク人俳優の Lars Bom が主役で登場し、その上、その後の活躍著しいカメラマンの John Andreas Andersen が撮影を担当していたり、今やノルウェーを代表する監督になってしまったエリック・ポッペ Erik Poppe によるタイトルロールだったり、B級ミステリーっぽい映画にしてはずいぶん豪華な顔ぶれです。

原作を読んだことがないので詳しくはわかりませんが、ネット上の書評などを見ると原作と映画では主人公の設定が変わっているようです。この映画の中の主人公カーステンはノルウェーの田舎町の警察署で働くデンマーク人警官で、この町の人間にとってはよそ者のような感じです。送別会のケーキに飾るデンマーク国旗をノルウェー国旗に修正を加えたもので代用されたり、老女の死体の第一発見者となる少年カニクにノルウェー語の話し方が変だと言われたり、ことあるごとにデンマーク人であることが強調されます。他のだれもが制服を着ている仕事場の警察署では彼だけがラフな私服スタイルで、捜査に対する見解が他の警官仲間たちと違った時などの孤独感をいっそう強いものにします。ただ、一般的なノルウェー人のデンマーク人観については知りませんが、自由で明晰な判断力を持つカーステンに比べ、制服姿のノルウェー人警官たちがあまりにも融通の利かない怠け者のように描かれているので、彼らはデンマーク人に憧れを持っているんじゃないだろうかという妄想まで湧いてきます。

妻が連れて逃げたカーステンの息子アルヴィクと父親が帰ってこない目撃者の少年カニクの状況や、最初は反目していながらも徐々に友情が芽生えてくるという強盗犯モルガンとエルキの関係をカーステンとエルキの担当精神科医サラとの関係に重ねたりしながら物語が重層的に描かれているので、シンプルなストーリーにもかかわらず退屈せずにラストまで一気に観れたんですが、幻覚を見るほど逃げた妻に連れて行かれた息子のことが気になって仕事まで辞めて帰国してしまおうとしていたカーステンなのに、彼女ができたとたん簡単にノルウェーに残ることを決めてしまうとは、息子のアルヴィンやカニク少年がいまいち報われないような気がしてなりません。。。

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原作情報

Uno (2004)

Uno (2004)

オリジナルタイトル:Uno

監督:アクセル・ヘニー Aksel Hennie, John Andreas Andersen

上映時間:103分

製作国:ノルウェー

日本劇場未公開

予告編

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あらすじ

ダウン症の弟や末期ガンの父親を抱えた家族のことが気になりながらも、その家族と距離を置いて生きているダヴィッドはオスロのスポーツジムで働いている。そのジムを経営するヤーレは、ステロイドを闇で売っていたり、ジムにピストルを持ち込んだりする問題の多い自分の息子よりもダヴィッドを信頼している。ある日ダヴィッドの父親が危篤状態に陥り、一度は病院に駆けつけたダヴィッドだったが、病院で父親に付き添うために仕事を休もうとジムに伝えにいくと、そこには警察の手入れが入っていた。ステロイドとピストルを発見した警察はそれらを押収する。警察で押収物の所有者について取り調べが行われ、最初は証言を拒んでいたダヴィッドだったが、父親のいる病院行くためにそれらがヤーレの息子のものであることを白状してしまう。

メモ

  • オスロで生活する若者のドラマ
  • 俳優として活躍するアクセル・ヘニーの初監督作で、Naboer (2005)Upperdog (2009) などでも活躍するカメラマンの John Andreas Andersen が共同で監督を務めている。
  • 自宅のあるアパート地下の物置で寝起きするダヴィッド
  • 友人のモルテンといっしょにビデオを見るダヴィッド。見ているのはプッシャー (1996) でフランクが裏切ったトニーをバットで半殺しにするシーン
  • そして、、、バットを隠し持っていたヤーレ。こわい。
  • ヤーレの息子ラースと付き合いのあるパキスタン系のグループ。結束が固い。

コメント

Jonny Vang (2003) で長編初主演して Buddy (2003) でブレイクしたアクセル・ヘニーがとうとう監督までやっちゃた、、、という作品。しかし、Buddy という映画はヘニーだけでなく、今回もモルテン役で出演している Nicolai Cleve Broch とか、Nord (2009) で主役の Anders Baasmo Christiansen とか、今になって考えてみればすごい人達が出てた映画ですねー。

ナチスが最も恐れた男 (2008) のマックス・マヌス役で日本にも登場したアクセル・ヘニー監督は10代の頃にタギング(落書き)のグループに所属していて、ノルウェーでは落書きの罪で初めて起訴された人間だそうで、そのとき逮捕されたあとグループから閉め出された経験がこの映画のストーリーの元になっているとのことです。友情とか裏切りとか、いろんなものが絡み合うなかで、ダウン症の弟の世話をしたり父親の最期を看取ったり、主人公ダヴィッドのやりきれない人生が描かれていきます。

Uno とは言わずとしれたカードゲームのウノのことで、あるコミュニティのなかでひとりぼっちになった状態のことをこのウノに掛け合わせているのだと思われます。ダヴィッドは仲間たちから閉め出され悩み苦しみます。そして、そのコミュニティから出て一人で生きていくことを決断したときに「ウノ」と宣言するがごとく決死の行動に出ますが、結局ゲームに勝利したのか敗北したのかはこの映画を見る人の見方しだいのような感じです。

一つ気になったのは、重要な女性の登場人物はダヴィッドの母親ぐらいで、かなり男臭い映画だったこと。ヘニーが監督として女性をどう描くかも次回は見てみたいところです。

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DVD情報

Jonny Vang (2003)

Jonny Vang (2003)

オリジナルタイトル:Jonny Vang

監督:イエンス・リエン Jens Lien

上映時間:85 分

製作国:ノルウェー

日本劇場未公開

予告編

あらすじ

ヨニー、マグヌス、トゥヴァの3人は小さな村で育ち、幼い頃から仲のよい幼なじみ同士。マグヌスとトゥヴァは結婚してひとり息子をもうけている が、ヨニーはミミズの養殖で一発当てることを夢見ながら、トゥヴァと不倫の関係を続けている。ある日ヨニーは仕事場で何者かに襲われて気を失う。ヨニーは 犯人探しを訴えるが、警察は取り合ってくれない。

ひとくちコメント

  • コメディ
  • いまでは俳優だけでなく監督としても活躍している アクセル・へニー(Aksel Hennie) の主演第1作。ちなみに同時期にノルウェーで公開されたキムと森のオオカミ (2003) にも出演。
  • 小さな村の中での人間関係。クセのある登場人物たち。
  • ポップな音楽多数。コメディ・ミュージカル的な側面も。。
  • 現代の物語であるが、車などの小物にノスタルジックな雰囲気。
  • 主なロケ地は、リレハンメル・オリンピックで滑降競技の行われた会場からもほど近い Fåvang(グーグルマップ参照

追記

ノルウェーにはまだ行ったことがありませんが、それでもヨーロッパの田舎町の雰囲気が味わえる映画だと思います。田舎町に住むヨニーですが、ほかの登場人 物に比べて、服装や考え方が田舎にしてはやや都会的な感じもあり、そこが登場人物たちのなかでヨニーを際立たせているのかもしれません。小さな町の人々の 関係が複雑なので、他所から来た女の子であるヘレンがもっと絡むのかと思ったらそうでもなかったです。いずれにしても、嫌気がさしてあてもなく田舎を出る ときには、ノルウェーでも首都オスロを目指すのだなと妙に納得したのでした。

ソフト情報

   

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