Bjarnfreðarson (2009)

Bjarnfreðarson (2009)

オリジナルタイトル:Bjarnfreðarson

English Title:Mr. Bjarnfreðarson

監督:Ragnar Bragason

上映時間:105分

製作国:アイスランド

日本劇場未公開

予告編

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あらすじ

殺人の罪による禁固10年の判決で服役していたゲオルグ・ビャーンフレダルションは、模範囚ということで半分の5年で出所することになる。ひさびさに生まれ育った家に戻ったゲオルグだったが、アイスランドでも有名なフェミニスト思想家の母親は受け入れてくれない。住むところのないゲオルグは、かつてガソリンスタンドやホテルで働いていたときの同僚で、表向きは医者になるために大学に通っていることになっているダニエルの家に転がり込む。そこにはダニエルとともにいっしょに服役した同じ職場の同僚オラフルも居候していた。

メモ

  • コメディ
  • 出所したくないゲオルグ。以前の囚人の暴動を主導したと主張する
  • レーニン風の風貌にゲバラの帽子
  • ママと呼ばせないゲオルグ少年の母親
  • アイスランドでも犯罪歴のあるものは職に就くのが難しいようだ
  • ダニエルが図書館でゲオルグの子供の頃に関する新聞記事を発見。まったく関係ないが、その記事の横に日本人によるシシャモ売買の記事が…
  • 共産主義者の祖父と社会主義者の母
  • サンタクロースはアメリカ消費社会のシンボル。クリスマスを祝うのは家族のためであって資本家のためではない。
  • オロフ・パルメ(暗殺された元スウェーデン首相)が父親だと信じ込むゲオルグ少年

コメント

Næturvaktin (2007)

アイスランドで大人気のTVシリーズ3部作 Næturvaktin (2007)Dagvaktin (2008)Fangavaktin (2009) の結末的物語を描いた作品。アイスランドでの公開週の週末にはアバター (2009) 以上の動員を記録したとのこと。これらのTVシリーズを見ていなくてもそれなりに笑えるコメディですが、やっぱり見ていなければわからない部分もあるんだろうなとも思います(オラフルがFMラジオ放送で話しているのは、TVシリーズ内で描かれたゲオルグの話がらしい)。もとは3人のキャラクターを描くTVシリーズを2時間弱の映画におさめる際に、3人すべてのキャラクター説明に時間を割くことも難しいとも思われ、主人公を1人に絞ることになるのは必然かもしれません。他の2人も個性の強いキャラクターなので「?」となる部分が多少あるのは仕方がないことなのかもしれません。

Næturvaktin
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Dagvaktin
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Fangavaktin
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この作品ではその3人のうちの1人、ゲオルグ・ビャーンフレダルションのエキセントリックな共産主義思想がどのように出来上がったのかについて、彼の子供時代の回想を交えながら描かれます。ゲオルグの母親と祖父はともに極端な思想の持ち主で自分たちの思想をゲオルグに押し付けるわけですが、その母親と祖父の間にも思想の違いが見られます。祖父がスターリニズム的傾向が見られるマルクス・レーニン主義なのに対して、母親のビャーンフレドゥルはフェミニズム活動家としての社会主義思想の傾向が見られ、スウェーデンに関する見解などで対立していたりします。これは祖父と母との育った時代の違いによるものかもしれませんが、基本的には祖父から母へ受け継がれた反資本主義思想がもとにあり、それがゲオルグにも引き継がれています。母親とゲオルグの関係を見てみると、祖父から母への思想の受け継ぎも恐らく強制されたものであり、このような親からの強制された人生というものが代々医者であったダニエルの家族の物語に重ねられていき、全体的にはその強制から逃れようとする人達の物語になっているようです。

改めて見てみると、世界恐慌以降、社会民主主義(大きな政府)勢力の強い他の北欧の国に比べて、アイスランドでは自由主義(小さな政府)勢力の方が優勢だった期間が長いようで、イデオロギー的側面の映画内での現れ方が他の北欧諸国と違うアイスランドに特有なものがあったりするのかもしれません。また、オロフ・パルメを自分の父親だと信じ込んだゲオルグ少年が自分の名字を変え、しみじみと「ゲオルグ・オロフション」とつぶやくところなどはかなりアイスランド的な場面だと思われます。

なお、元になったTVシリーズがアメリカでリメイクの準備が進められているようですが、キャラクターの設定が大きく変わってしまうとのこと。

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DVD情報

Mýrin (2006)

Mýrin (2006)

オリジナルタイトル:Mýrin

English Title:Jar City

監督:Baltasar Kormákur

上映時間:93 分

製作国:アイスランド | ドイツ | デンマーク

日本劇場未公開

予告編

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あらすじ

エルンの5歳になる娘のコーラが幼くして病気で死んでしまう。同じ頃、レイキャビークの郊外のある家で老人の撲殺死体が発見される。この殺人事件を捜査していく中で30年前のレイプ事件の存在が明らかになり、担当刑事のエーレンデュルは殺人事件とレイプ事件の関連を調べていくことになる。

メモ

  • ミステリー
  • アイスランドの推理作家アーナルデュル・インドリダソン Arnaldur Indriðason によるエーレンデュル警部シリーズの中の2000年に発表された小説 Mýrin の映画化
  • エーレンデュルの同僚シグルドゥルの言葉「典型的なアイスランドの殺人事件。汚くてむなしくて、証拠を隠そうともしていない」
  • ホルガで撮られたという墓地の写真(劇中ロシア製と言っているが、ホルガは中国製)
  • 父親のわからないコルブルンの娘。警察の資料担当によれば、このような場合予想できることは、近親相姦かレイプによるもの、あるいは外国人の父親とのこと。
  • スヴィズ(Svið:羊の頭を煮込んだ料理)を食べるエーレンデュル。コールド・フィーバー (1995) にも登場した、一部では有名なアイスランド料理。
  • 悪名高い犯罪者のエリディでも、週末には刑務所から外出ができる。そして日曜は刑務所は休みらしい。
  • グレタルとエリディは、コルブルンはアメリカ軍の基地で身体を売っていたと証言。当時、米軍中心のアイスランド防衛隊の司令部はケプラヴィークにあった。この映画のアイスランドでの公開直前の2006年9月に閉鎖。
  • コーラがかかっていたのは、神経線維腫症という病気
  • 劇中登場する主な舞台はレイキャヴィークと、そこから南西へ約50km離れた街ケプラヴィーク Keflavíkグリンダヴィーク Grindavík(グーグルマップ参照)
  • そしてエウドゥルの墓と彼女の叔母エリンの家の場所(グーグルマップ参照

コメント

上質ミステリー映画。最後に真実が一気に明かされるタイプのミステリーではなく、観客はストーリーの最初の方である程度犯人の目星を付けられることになりますが、事件を追う刑事が犯人に近づいていく過程がダークな雰囲気の中で描かれていて、見ている方もラストまでその緊張感を楽しめる映画でした。見所はそのミステリアスなストーリーばかりでなく、私にとってはスクリーンに登場する多くの要素がアイスランド的なもので、映画の冒頭のシグルドゥルの言葉に倣えば、ひょっとしたらこれは《典型的なアイスランド》についての映画なのかもしれません。荒涼としたアイスランドの風景や水蒸気を上げる大地とか、登場人物が食べるアイスランド料理とか、孤独に生きる人達とか、、、また、最近はテロのおかげで有名になったノルウェーの刑務所の仕組みと同じようなものがここでも見られ、刑務所に入っている犯罪者が週末に外出したり、およそ日本やアメリカを舞台にした映画では見られないシーンでしょう。アメリカ軍の基地の話や人口が30万人ほどのアイスランドの住民すべての遺伝情報を収集する企業など、アイスランド的なものは画面に映るものばかりでなく、登場人物の言葉の裏にもアイスランドの状況が隠れていたりします。

基本的には親と子の関係がストーリーを貫いていて、エーレンデュルと娘のエヴァの関係がエルンとコーラの関係、また他にも、エルンと彼の母親や父親との関係やコルブルンと娘のエウドゥルの関係などに重ね合わされ、殺人事件の謎とそれを捜査するエーレンデュルの私的なストーリーが平行して進んでいきます。また、エルレンドゥルは高層集合住宅で孤独に暮らしていて、遠くから見ると同じ形状で一様に並んだベランダの一つで、煙草を吸いながら朝のひとときを過ごす彼の姿を見ることができ、この映画の中のエーレンデュルとは一般的なアイスランド人を象徴している人物なのだと思われます。

全体的に重苦しい雰囲気の映画ですが、ブラックな笑いもところどころ盛り込まれ、また、しんみりさせるところもあったりして、個人的にはしっかりした娯楽映画に仕上がっているとも思っています。 101 Reykjavík (2000) とか Hafið (2002) とか、評価は高くても少々カルト的な人気の作品ばかりだったバルタザール・コルマクール監督ですが、こういう娯楽作品を作っていれば、彼の作品が日本で公開される日がそのうち来るかもしれません。

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