イージーマネー (2010)

Snabba Cash (2010)

オリジナルタイトル:Snabba Cash

English Title:Easy Money

日本語タイトル:イージーマネー

監督:ダニエル・エスピノーサ Daniel Espinosa

上映時間:124 分

製作国:スウェーデン

日本劇場未公開(DVD発売)

予告編

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あらすじ

コカイン取引に絡む3人の男たち。取引の為に刑務所を脱獄して来たばかりのホルヘは、母と姉(妹?)の面倒を見るためにどうしても取引を成功させたい。そのホルヘを追う対抗組織の用心棒ムラドは切れ者だが、別れた妻がドラッグ中毒で収容されたため、小さな娘を引き取り仕事と娘の世話の両立を強いられている。ホルヘの護衛を依頼された JW(ユーアン)は経済学を専攻する貧乏学生だが、上流社会を夢見てタクシー運転のバイトをしながら小銭を稼ぐ毎日。ムラドに襲われていたホルヘを助けた JW は、さらに金を積まれることでホルヘをかくまうことになる。

メモ

  • クライムドラマ
  • 刑事訴訟の弁護士でもある小説家イェンス・ラピドゥス Jens Lapidus のストックホルム暗黒街を描いた3部作の第1作目 Snabba cash の映画化。イェンス・ラピドゥスはスウェーデンのジェイムズ・エルロイ(L.A.コンフィデンシャルアメリカン・タブロイド 等)、デニス・ルヘイン(ミスティック・リバーシャッター アイランド 等)ともいわれているらしい。
  • 脇の配役が意外に渋い(デジャン・チュキッチ、ファレス・ファレスなど)
  • スウェーデンのアンダーグラウンドを仕切るのも移民か?
  • JW の口座の残金 243 SEK (≒ 3,000 円)
  • JW の学ぶ大学はストックホルム商科大学(Handelshögskolan i Stockholm)。日本で言えば慶応大学みたいなものか…
  • 「中国語では “危機” と “機会” は同義」JW の大学の講義にて
  • カールとソフィーのいたらしい Lundsbergs skola はストックホルムのボーディングスクール
  • アブドゥルカリムに言われてホルヘを見つけに JW が向かった場所 Malmvägen は、ストックホルムの北郊外 Sollentuna に60年代から70年代に開発された集合住宅地区。移民が多く住むところらしい。
  • JW の出身地はノールランドの Robertsfors(グーグルマップ参照

コメント

上流階級の暮らしを目指した JW が、いつのまにかアンダーグラウンドの世界に足を踏み入れるというお話。映画の中でも描かれるように、金持ちの社会と闇の社会はどこか似ていて、結局は同じ穴の狢ということかもしれません。

アクションよりも人物描写にウエイトがあり、淡々と物語が進んでいきながらも、見ているうちにストーリーに引き込まれていきますが、個人的にはいくつか不満な点もありました。カールがパーティの席上で3種類の人間の話をするので、それが中心の3人の人物のことかと思うとそうでもなさそだし、登場人物の中で庶民に最も近そうな JW の目を通して社会の暗部をみることになるのかと思えば、彼の人生も意外とミステリアスなものがあって、3人の中ではいちばん理解に苦しむ行動をとったりしてました。3部作って言われるぐらいだし、JW の謎はラピドゥスの他の小説で明かされたりするんですかね? まあ私としては JW 役のジョエル・キンナマンをじっくり見れた映画ということで満足することにします。

そのジョエル・キンナマンですが、マイライフ・アズ・ア・ドッグ (1985) でサガを演じたメリンダ・キンナマンの弟で、Johan Falk の GSI シリーズでも大活躍でした。最近はアメリカのTVシリーズ The Killing (2011) に出演したり、ハリウッド版 ドラゴンタトゥーの女 (2011) でミレニアムのスタッフを演じたりしてるみたい。

私としての見所はそんな感じですが、いろいろこの映画を観た人のブログとか見てみると、意外にムラドの娘のルヴィーサが人気みたい。参考までに下にルヴィーサ役のレア・ストヤノフのインタビュー記事のリンクをのせておきます。私のスウェーデン語力ではほとんど理解ができませんでしたが、とりあえずはスウェーデンで子供モデルとしてCMとかで活躍中のようでした。

関連記事、サイト、ブログ等

DVD、原作本情報ほか

Kopps (2003)

Kopps (2003)

オリジナルタイトル:Kopps

監督: Josef Fares

製作国:スウェーデン | デンマーク

上映時間:90分

日本劇場未公開

予告編

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あらすじ

犯罪や事件とは無縁の田舎町にある駐在所では、所長以下4名の警官と1名の通信員たちが思い思いに平和な人生を楽しんでいた。ところがある日、県警察の職員が現れ、予算削減のため事件のないこの町の駐在所を3ヶ月以内に閉鎖する予定であることを告げられる。仕事を失う状況に陥った職員たちは、密かに自分たちで事件を起こし、駐在所の必要性を訴えることを思いつく。

ひとくちコメント

  • 長編デビュー作のコメディ映画 Jalla! Jalla! (2000) でブレイクした Josef Fares 監督の劇場長編2作目。再びドタバタコメディ。
  • 前作に引き続き監督の実の家族が総出演
  • いかれた警官たち(出会い系で彼女を見つけることに情熱を燃やす子持ちのヤコブ/アメリカンなスーパー・コップを夢見ながら、自宅では編み物にいそしむベニー/夫婦漫才ばりの掛け合いを繰り返すアグネタとラッセの夫婦)
  • のんびりとした風景の中で繰り広げられるコメディ
  • ストーリーの冒頭に登場する迷い牛がエンドクレジットのキャスト欄に。。。名前はグレタ284号
  • 映画の中で町の名前について言及されていないので架空の田舎町だと思われるが、ロケ地はヴェストラ・イェータランド県の Bäckefors というところらしい。(グーグルマップ参照

追記

Jalla! Jalla! と同じタイプの Josef Fares のコメディ映画ですが、前作とは違ってスウェーデンにおける移民文化の要素はあまり感じられません。2作目でもっとスウェーデンの一般的な大衆の笑いに訴えようとしたのかどうかはわかりませんが、脚本家として Fares とともに名を連ねているのが、スリラー映画の ポゼッション (2004)すべてはその朝始まった (2005) のミカエル・ハフストロームとヴァサとは、このコメディにしては奇妙な組み合わせです。

いずれにしても犯罪者の出てこないポリス・コメディも珍しいと思いますが(ベニーの夢の中には登場、、、というより本人たちが犯罪者か?)、平和な雰囲気の中で幸せに暮らす人達という北欧のステレオタイプに加えてこういう映画を見ている人間には、2011年7月に起こったノルウェーの虐殺テロなんて想像もつかないかもしれません。ただこの映画の中で警官たちが失業の脅威にさらされたり、事件の自作自演に加担させられるイェランがアル中風だったりと、このようなコメディ映画の中にも北欧の社会問題が隠れていることもあると思います。

県警察のスタッフとして駐在所の閉鎖を告げにくるイェシカを演じている Eva Röse は、スリラー映画 Villmark (2003) や、最近ではドロドロなスリラーもののテレビ・シリーズ Maria Wern (2008 – 2010) で活躍していて、いつも眉間にしわを寄せているようなシリアスなイメージがありますが、そのようなシリアスさがこの映画の中でもなんとなく感じられて、平和な生活を送る田舎町の住人たちにの中に現れた異世界である都会の人間というキャラクターにぴったりなのかもしれません。もっとも調べてみるとこの女優さんは Rallybrudar (2008) というコメディ映画にも主役として参加しているようなので、そちらの方ではどんなキャラクターを演じているのか確認してみたくなりました。

関連記事、サイト、ブログ等

DVD情報

エグゼクティブ・プロテクション (2001)

エグゼクティブ・プロテクション (2001)

オリジナルタイトル:Livvakterna

English Title:Executive Protection

日本語タイトル:エグゼクティブ・プロテクション

監督:アンデルス・ニルション Anders Nilsson

製作国:スウェーデン

上映時間:112分

日本劇場未公開(DVD発売)

予告編

あらすじ

テキスタイル会社を経営しているスヴェン・ペルションは、エストニアに工場を設立した後、現地の犯罪組織から脅しを受けるようになった。スヴェンは犯罪組織との交渉を国際的な警備会社と称するドイツ人のニクラス・レーマンという男に依頼する。交渉の場でレーマンのグループは、スヴェンの目の前でエストニアの犯罪組織の一味を皆殺しにしてしまう。恐れをなしたスヴェンはレーマンとの関係を断ち切ろうとするが、レーマンは支払いを要求し、それを渋るスヴェンに脅しをかけてくる。困ったスヴェンが古い友人であるユーアンに相談すると、警察が無力であることを知っているユーアンはある警備会社をスヴェンに紹介し、スヴェンと彼の家族を守ろうとする。

ひとくちコメント

エグゼクティブ・プロテクション (2001)

  • ユーアン・ファルク・シリーズの第2弾
  • エストニアに進出しているスウェーデンの企業
  • ドイツ人の警備会社 vs スウェーデン人の警備会社
  • 相変わらず警察の中で協調性に欠けるユーアン。とうとう自転車盗難担当にとばされる。そして相変わらずヘマもやらかす。
  • ユーアン以上に間抜けなスヴェン
  • ユーアンの過去が明かされる
  • 前作から一転してハイテク戦。銃火器も強力になる。
  • 家族と仕事
  • ニナも健やかに成長。ただし出番が少ないのが残念。3作目での活躍を乞うご期待。
  • 土地の名前がほとんど出てこないのでどこだか詳細な場所はわからないが、ユーアンがイェーテボリの警官であること、ラスト近くのシーンでベーナシュボリから警官が向かうと告げられることなどから、ヴェーネルン湖の南西あたりの地域だと思われる。(グーグルマップ参照

追記

ヨーロッパの中で国際的な犯罪に脅かされているスウェーデンという、この後のユーアン・ファルク・シリーズに続く流れがこの作品から始まっているようで、実際に警備会社の社長モルテンソンが口にする「第三の波(tredje vågen)」 という言葉が、このシリーズ第3作目のタイトルにもなっています。内容も国際的になって来て、登場する言語がスウェーデン語、英語、ドイツ語、そしてわずかにエストニア語と多彩になってきました。
1作目のゼロ・トレランス (1999) もそうでしたが、犯罪に会う側と起こす側、さらにそれを取り締まる側すべてに家族があり、家族ドラマという一面もこのシリーズの特色になっているようです。ただ1作目に比べて登場する家族が裕福になっていて、裕福さと犯罪との関わりということが、映画の中で語られるように国家全体に及ぶことを暗示しているのかもしれません。そんな中、幸せな家庭に縁のない女性が登場し、この作品のアクセントになっているような感じです。
ハリウッドのアクション映画のような派手さはありませんが、リアルでシンプルなアクションを見せており、1作目に劣らず、というよりはアクションの面では進化した感じで、丁寧な作りに好感が持てる1本でした。

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