Mýrin (2006)

Mýrin (2006)

オリジナルタイトル:Mýrin

English Title:Jar City

監督:Baltasar Kormákur

上映時間:93 分

製作国:アイスランド | ドイツ | デンマーク

日本劇場未公開

予告編

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あらすじ

エルンの5歳になる娘のコーラが幼くして病気で死んでしまう。同じ頃、レイキャビークの郊外のある家で老人の撲殺死体が発見される。この殺人事件を捜査していく中で30年前のレイプ事件の存在が明らかになり、担当刑事のエーレンデュルは殺人事件とレイプ事件の関連を調べていくことになる。

メモ

  • ミステリー
  • アイスランドの推理作家アーナルデュル・インドリダソン Arnaldur Indriðason によるエーレンデュル警部シリーズの中の2000年に発表された小説 Mýrin の映画化
  • エーレンデュルの同僚シグルドゥルの言葉「典型的なアイスランドの殺人事件。汚くてむなしくて、証拠を隠そうともしていない」
  • ホルガで撮られたという墓地の写真(劇中ロシア製と言っているが、ホルガは中国製)
  • 父親のわからないコルブルンの娘。警察の資料担当によれば、このような場合予想できることは、近親相姦かレイプによるもの、あるいは外国人の父親とのこと。
  • スヴィズ(Svið:羊の頭を煮込んだ料理)を食べるエーレンデュル。コールド・フィーバー (1995) にも登場した、一部では有名なアイスランド料理。
  • 悪名高い犯罪者のエリディでも、週末には刑務所から外出ができる。そして日曜は刑務所は休みらしい。
  • グレタルとエリディは、コルブルンはアメリカ軍の基地で身体を売っていたと証言。当時、米軍中心のアイスランド防衛隊の司令部はケプラヴィークにあった。この映画のアイスランドでの公開直前の2006年9月に閉鎖。
  • コーラがかかっていたのは、神経線維腫症という病気
  • 劇中登場する主な舞台はレイキャヴィークと、そこから南西へ約50km離れた街ケプラヴィーク Keflavíkグリンダヴィーク Grindavík(グーグルマップ参照)
  • そしてエウドゥルの墓と彼女の叔母エリンの家の場所(グーグルマップ参照

コメント

上質ミステリー映画。最後に真実が一気に明かされるタイプのミステリーではなく、観客はストーリーの最初の方である程度犯人の目星を付けられることになりますが、事件を追う刑事が犯人に近づいていく過程がダークな雰囲気の中で描かれていて、見ている方もラストまでその緊張感を楽しめる映画でした。見所はそのミステリアスなストーリーばかりでなく、私にとってはスクリーンに登場する多くの要素がアイスランド的なもので、映画の冒頭のシグルドゥルの言葉に倣えば、ひょっとしたらこれは《典型的なアイスランド》についての映画なのかもしれません。荒涼としたアイスランドの風景や水蒸気を上げる大地とか、登場人物が食べるアイスランド料理とか、孤独に生きる人達とか、、、また、最近はテロのおかげで有名になったノルウェーの刑務所の仕組みと同じようなものがここでも見られ、刑務所に入っている犯罪者が週末に外出したり、およそ日本やアメリカを舞台にした映画では見られないシーンでしょう。アメリカ軍の基地の話や人口が30万人ほどのアイスランドの住民すべての遺伝情報を収集する企業など、アイスランド的なものは画面に映るものばかりでなく、登場人物の言葉の裏にもアイスランドの状況が隠れていたりします。

基本的には親と子の関係がストーリーを貫いていて、エーレンデュルと娘のエヴァの関係がエルンとコーラの関係、また他にも、エルンと彼の母親や父親との関係やコルブルンと娘のエウドゥルの関係などに重ね合わされ、殺人事件の謎とそれを捜査するエーレンデュルの私的なストーリーが平行して進んでいきます。また、エルレンドゥルは高層集合住宅で孤独に暮らしていて、遠くから見ると同じ形状で一様に並んだベランダの一つで、煙草を吸いながら朝のひとときを過ごす彼の姿を見ることができ、この映画の中のエーレンデュルとは一般的なアイスランド人を象徴している人物なのだと思われます。

全体的に重苦しい雰囲気の映画ですが、ブラックな笑いもところどころ盛り込まれ、また、しんみりさせるところもあったりして、個人的にはしっかりした娯楽映画に仕上がっているとも思っています。 101 Reykjavík (2000) とか Hafið (2002) とか、評価は高くても少々カルト的な人気の作品ばかりだったバルタザール・コルマクール監督ですが、こういう娯楽作品を作っていれば、彼の作品が日本で公開される日がそのうち来るかもしれません。

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DVD、原作本情報

Ekko (2007)

Ekko (2007)

オリジナルタイトル:Ekko

English Title:Echo

日本語フェスティバルタイトル:記憶の谺(こだま)

監督:アナス・モーゲンターラー Anders Morgenthaler

上映時間:80 分

製作国:デンマーク

日本劇場未公開(SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2008で上映)

予告編

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あらすじ

警官のシモンは離婚に際して養育権を失い、夏のある日、別れた妻の所から息子のルイを連れ去ってきた。誘拐犯として警察に追われる身になったシモンは人里離れた差し押さえになった一軒家に忍び込み、他人との接触を避けるように親子の生活を始める。だがその時から、シモンは悪夢に悩まされるようになる。

メモ

  • スリラータッチのドラマ
  • デンマークの田舎。田園と海岸が続く。
  • 無人のサマーハウス
  • 仲のよい父と子
  • 日本ではあまり見ない形のネズミ捕り
  • 自分の父親と同じにはならないと叫ぶシモン
  • ドイツ語でスーパーの店員の目をごまかそうとするシモンに対し、デンマーク語がわからないと信じて、下品なデンマーク語でシモンに話しかけるアンジェリク
  • この映画で憶えた単語:Kødpølse, Bøsse, Vandskræk

コメント

Princess (2006) で長編デビューしたアナス・モーゲンターラー監督が、今度は実写映像で父と息子の絆を描きます。これまでアニメーションを多く手がけてきたモーゲンターラーだけに、ルイの描くパラパラマンガ風の絵に、監督のアニメーションに対する思い入れが感じられました。

シモンとルイの関係を描く描写が続き、はじめはただの仲のよい親子の夏休みと言った感じですが、シモンがルイといっしょに人里離れたこの地にやってきた理由がじわじわと明らかになっていき、そこにシモンの見る悪夢が絡んできてドラマをもり立てていきます。ただ、養育権を失った父親とその息子の関係とか、そこに絡んでくる女性の存在とか、ハリウッド映画にもありそうな設定で、映画の中に北欧らしさ(デンマークらしさ)はほとんど見られませんでした。逆に言えば、デンマーク映画に慣れていない人でも楽しめる作品なのかもしれませんが…

ゼイ・イート・ドッグス (1999)プッシャー (1999) での乱暴者のイメージが強いキム・ボドゥニア Kim Bodnia が優しい父親を演じているのが驚き。。。そのほか、Princess から引き続きステン・フィスケ・クリステンセン Stine Fischer Christensen がモーゲンターラー作品に出演しています。クリステンセンは En soap (2006) で長編監督デビューした Pernille Fischer Christensen の妹で、私が映画の中で見る時は少し思慮の足らなそうな女の子の役が多いからかもしれませんが、ちょっと前のジュリエット・ルイスのようなイメージです。

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DVD情報

Blóðbönd (2006)

Blóðbönd (2006)

オリジナルタイトル:Blóðbönd

English Title:Thicker Than Water

監督:Árni Ásgeirsson

上映時間:90分

製作国:アイスランド | デンマーク | ドイツ

日本劇場未公開

予告編

http://www.dailymotion.com/video/xf4rw0

あらすじ

間もなく第2子が誕生する予定のペーテルとアスタの夫婦は、息子のオルンとともに幸せに暮らしていた。ある日、オルンがフットボールの練習中に突然倒れて病因に運び込まれる。原因は単なる貧血だったのだが、血液検査の結果を聞いたペーテルは愕然とする。オルンの血液型が、O型のペーテルとアスタの間に生まれるはずのないA型だったのだ。その時からペーテルの中にアスタに対する疑いが湧き始め、彼は家族と離れてホテルで暮らしていくことを選ぶ。

ひとくちコメント

  • Árni Ásgeirsson 監督の長編デビュー作
  • 幸せだった家族関係が崩れていく
  • アイスランド人もパーティ三昧?
  • 空港のカウンターでチケットの変更を断られ、対応する職員に怒りまくるアスタ。ヨーロッパの空港で何度も見た光景。
  • ホテルのエレベーターは日本人でいっぱい
  • チェルシー×マンチェスターUの結果について話すペーテルの妹の婚約者ボルクル。グジョンセンが得点したと喜ぶ。アイスランド人も自国の選手の活躍が気になるようだ。
  • ペーテルの秘書のアンナ。職場とプライベートの雰囲気がまるで違う。
  • あてもなくバスに乗って街を回るオルンと友達のインガ
  • 洗濯機の水漏れ。よくありそうな話。
  • 「人はなぜ結婚なんかするのだろうか」ボルクルのつぶやき

追記

内容だけ考えてみるとドロドロな話なんですが、映像は乾いた感じで音楽も少なく、映画は静かに進んでいきます。ペーテルは取り乱すでもなく頭の中でぐるぐると考えを巡らせて、まわりの人間を巻き込んでいきます。年少のオルンを含めて登場する男性たちはみな精神的に弱そうで、いつも女性に頭が上がらない感じです。ペーテルは妻のアスタにつきはなされると秘書のアンナのところへ駆け込み、アンナのところにいられなくなるとアスタの家へ向かうし、ボルクルは婚約者であるリリアの言うなり。ペーテルの息子のオルンは、女友達のインガについてバスに乗って街を回ります。こんな感じで、男の弱さがやたらと目につく1本でした。

この映画で問題となる血液型ですが、ヨーロッパでは興味を持っている人が少なく、私は自分の血液型を知っているヨーロッパ人をまだ見たことがありません。そういうものだからこそ、血液型に関する物語が生まれ易いということもあるのかもしれません。ちなみにO型の両親からA型の子供が生まれることはあるようなので、ペーテル一家のような問題に会わないように、下に参考のブログを上げておきます。

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