Sauna (2008)

Sauna (2008)

オリジナルタイトル:Sauna

UK DVD Title:Evil Rising

監督:Antti-Jussi Annila

上映時間:83 分

製作国:フィンランド | チェコ

日本劇場未公開

予告編

YouTube Preview Image

あらすじ

時は1595年。長年続いてきた戦争が終わり、新たな国境策定のためにスウェーデンとロシアの使節が共同で調査をしながら、人里離れた湿地帯を北へ向かっていた。スウェーデン側の特使はエーリクとクヌートの兄弟。彼らはロシアの特使と合流する直前に、兄のエーリクはある住民を惨殺し、弟のクヌートはその住民の娘を食料庫に閉じ込めて来ていた。調査を進めながら湿地帯を進むうちに、クヌートは自分が閉じ込めて来た娘の亡霊を見るようになってしまう。その娘を助けにいくようにエーリクに訴えるクヌートだが、エーリクは聞き入れない。そんなとき、だれも住んでいるはずのなかった大きな湿地帯の真ん中に、知られていない村を発見する。

メモ

  • 時代劇ホラー
  • フィンランド産のチャイニーズ・ファンタジー・アドベンチャー Jadesoturi (2006) [英題:Jade Warrior]を撮った Antti-Jussi Annila 監督の2008年の作品
  • 1595年と言えば、日本では江戸時代直前。
  • リヴォニア戦争とロシア・スウェーデン戦争で戦った両国の戦争直後
  • 16歳から戦場に出ていたエーリク。残忍な彼は戦争しか知らないようすで、戦場で72個の罪を犯したとつぶやく。
  • 地理学者のクヌート。地図を作っている。日本で言えば伊能忠敬?
  • 昆虫や植物に興味のあるロシアの特使セメンスキー。調査の道中に標本を集めている。
  • 劇中セメンスキーがエーリクに見せる Saunakukka (Sauna flower) とは、学名が Tripleurospermum inodorum と言い、カモミールの一種らしい
  • スウェーデンとロシアの間に挟まれた、歴史的に微妙な地域であるカレリア地方
  • ルーテル派とロシア正教
  • 「方位磁石は嘘をつかない」(エーリク)
  • フィン人は人が誕生したとき、死んだときにサウナで洗い清め、また人が犯した罪も清めることができる、、、とのこと
  • 村にただ一人の子供。男の子のような女の子。
  • 舞台となる地域に関する地名がいろいろ出てくるが(Kaatamo、Päiväkivi 等)、細かい場所は見つけられなかった。だいたいこの辺か…(Kaatamo 地方、グーグルマップ参照

コメント

Jホラーで言えばリング (1998)呪怨 (2002) を合わせたような作品で、映画を通して重苦しい雰囲気が続きます。陽の高い時間帯でも人気のない不気味な湿地帯の見せ方は、なかなか怖いものがあります。罪とは何かなどと考えさせられながら終盤まで押さえた表現で恐ろしさをじわじわと盛り上げていくので、驚愕のラストにはショックも倍増です。

ただ、北欧の歴史や宗教観等に詳しくない人にとって、ストーリーの背景や登場人物の行動を理解するのは難しいかもしれません。かくいう私も一度見ただけではよくわからないところが少なくありませんでした。もっとも、こういう映画を見ることで新しい知識を得ることができるというのも、北欧映画を見る楽しみの一つなんですけどね。

カウリスマキの映画でとぼけた演技を見せるカティ・オウティネンも出演しており、不気味な雰囲気をかき立てます。もともと見た目は怖そうなおばさんなので、こういう映画に登場されると夢に出てきそうでよけい怖いです。。。

関連記事、サイト、ブログ等

DVD情報

Kautokeino-opprøret (2008)

Kautokeino-opprøret (2008)

オリジナルタイトル:Kautokeino-opprøret

English title:The Kautokeino Rebellion

監督:ニルス・ガウプ Nils Gaup

上映時間:96 分

製作国:デンマーク | ノルウェー | スウェーデン

日本劇場未公開

公式サイト:KAUTOKEINO-OPPRØRET

予告編

あらすじ

19世紀中頃、あるサーミの部落で生きるエレンやほかの女たちは、夫たちが酒に溺れてまともに働かず困っていたが、ラエスタジアス派の信仰に触れることで酒を断たせることができた。ところが逆に商店では、酒が売れなくて商売ができなくなってしまう。店主のブクトは策を講じて、サーミ人たちの信仰を かえさせようと、自分の息のかかった牧師を村へ招く。

ひとくちコメント

  • 実際におこった事件に関するサーミの歴史ドラマ
  • 全編通して一面雪景色。
  • 舞台はノルウェー北部、フィンマルク県にある村カウトケイノ。グーグルマップ参照
  • トナカイの群れ。徒歩でトナカイを追う。サーミ人に詳しくない人でも、映画を見ていくうちにこの地域のサーミにとってのトナカイの重要さが理解できるようになると思われる。
  • 物語冒頭に「フィンランドに行ったことがあるか?」という会話がなされるが、国境封鎖に関することだと思われる。
  • 自らもサーミであり、サーミの文化に多大な影響を及ぼしたスウェーデン人牧師ラエスタジアスを、スウェーデンの人気俳優ミカエル・ニクヴィストが演じる。
  • そのラエスタジアスから言葉をかけられ目が覚めるマチス。このシーンはちょっとカルトっぽい。
  • 衣装、住まいであるテント、トナカイの放牧など、サーミの文化満載。
  • エレンを演じる Anni-Kristiina Juuso はサーミであるフィンランド人女優。ロシア映画 The Cuckoo (2002) でもサーミの主人公を演じる。
  • 監督であるニルス・ガウプもサーミ人で、この映画になみなみならぬ情熱を燃やしたのか、実際にカウトケイノでロケをしたらしい。
  • 主題歌をうたう Mari Boine もサーミ人。徹底している。

追記

この映画を見るまでは知らなかったのですが、この物語は1852年に実際におこった Kautokeino uprising(「カウトケイノの反乱」とでも訳す?)という事件を描いたもので、この事件はサーミに関するアーカイブでも重要な扱いのようです。この 事件に関して中心的に語られる人物としては一般的には Mons Somby と Aslak Hætta のようですが、この映画では Ellen Aslaksdatter Skum という女性が主人公だといえるでしょう。
サーミの歴史に関する映画ということで、サーミのノルウェーへの同化政策上での摩擦とか、サーミ人への差別から起こる問題とか、そういったサーミ独特の事 件として描かれているのかと思いきや、実際に見て取れるのは宗教・宗派間の摩擦、権力と下層階級の衝突、金持ちと貧乏人、都市に生きる人間と自然の中に生 きるものたちの対立などではないでしょうか。
そうはいっても、これだけサーミに関するものが集まった映画は多くないし、この事件のことを知ることができたりして、映画を見ることは勉強になるなと改めて思わせた1本でした。

関連記事、サイト、ブログ等

DVD情報

Ads by Sitemix