Nord (2009)

Nord (2009)

オリジナルタイトル:Nord

English Title:North

監督:Rune Denstad Langlo

上映時間:79 分

製作国:ノルウェー

日本劇場未公開

予告編

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あらすじ

スキー選手だったヨーマルは精神を患い、治療をかねてスキー場の管理を任されていて、スキー場の管理小屋でアルコールとタバコだけで生活するような毎日を送っている。そこにかつてのヨーマルの恋人のリネアを奪ったラッセが訪ねてくる。ラッセによると、リネアには4歳になる息子がいて、その子の父親はヨーマルだという。ラッセはそのことがずっと気になっており、とうとうリネアのもとを逃げて来たというのだ。ラッセに息子に会いにいくように勧められるが、息子のことを聞いたヨーマルはショックを受けふさぎ込んでしまう。そんなある日、ヨーマルは管理小屋で火事を起こしてしまい、それをきっかけに、スノーモービルにアルコールのタンクだけ積み込んで、旅に出ることを決意する。

メモ

  • コメディ/ロードムービー
  • 癒し系。ポスター上のキャッチコピーは「En antidepressiv offroad movie」
  • ドキュメンタリーを撮って来た Rune Denstad Langlo 監督の劇場長編デビュー作
  • アルコールとタバコとナショナル・ジオグラフィック
  • トンネルを恐れるヨーマル
  • 雪盲という言葉を初めて知った
  • 人里離れた一軒家で寂しい生活を送る祖母と孫娘
  • ロッテがヨーマルの好きな音楽を訪ねたときに出た名前は Kaizers Orchestra(ノルウェーのオルタナティブ・ロックのバンド)。その後しつこく質問を繰り出すロッテに対して… 「あんなの聴くのはデンマーク人だけだろ」
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  • やたらと火事に縁のあるヨーマル
  • アルコールをしみ込ませた生理用品を頭頂部に貼付けたウルリクとヨーマル
  • スノーモービルを自分の足に鎖でつないだサーミの老人
  • 自然を知り尽くしたサーミ人。自然へ帰る。
  • ヨーマルのいたスキー場の場所はよくわからないが、旅立ってすぐの標識に「ナルヴィク 890 km」とあることから、トロンハイムのあたりだと思われる。
  • そして、ヨーマルの向かったタモクなんたらという場所もよく聞き取れなかったが、似たような名前の場所をトロムソの南のあたりに発見(グーグルマップ参照

コメント

北国好きの私にとって、ストーリーを通して一面雪景色のこういう映画はたまりません。 コメディタッチのロードムービーということで、例に漏れず登場する人物は奇妙な人間ばかり。しかしヨーロッパの北の果ての国で、さらに北を目指すロードムービーなんてのも珍しいんじゃないでしょうか。スクリーンに映し出されるのは降り積もった雪の他には何もないようなノルウェーの田舎ですが、オスロなどの都会に住むノルウェー人にとってのカントリー・サイドのイメージというものがこの映画に隠されているのかもしれません。

ヨーマルを演じた Anders Baasmo Christiansen は、出世作 Buddy (2003) でもオスロのある地区から出られないヒキコモリのような人物を演じていました。Buddy での彼はとうとうその地区から出ることはありませんでしたが、この作品の中のヨーマルは苦手なトンネルを意を決してスノーモービルで駆け抜けます。彼がスノーモービルで火花を散らしながらトンネルを抜けたとき、病気は既に完治したともとらえられ、その後ヨーマルが出会う人々の方が問題を抱えていて、逆にヨーマルに癒されていたのだと思います。

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Kautokeino-opprøret (2008)

Kautokeino-opprøret (2008)

オリジナルタイトル:Kautokeino-opprøret

English title:The Kautokeino Rebellion

監督:ニルス・ガウプ Nils Gaup

上映時間:96 分

製作国:デンマーク | ノルウェー | スウェーデン

日本劇場未公開

公式サイト:KAUTOKEINO-OPPRØRET

予告編

あらすじ

19世紀中頃、あるサーミの部落で生きるエレンやほかの女たちは、夫たちが酒に溺れてまともに働かず困っていたが、ラエスタジアス派の信仰に触れることで酒を断たせることができた。ところが逆に商店では、酒が売れなくて商売ができなくなってしまう。店主のブクトは策を講じて、サーミ人たちの信仰を かえさせようと、自分の息のかかった牧師を村へ招く。

ひとくちコメント

  • 実際におこった事件に関するサーミの歴史ドラマ
  • 全編通して一面雪景色。
  • 舞台はノルウェー北部、フィンマルク県にある村カウトケイノ。グーグルマップ参照
  • トナカイの群れ。徒歩でトナカイを追う。サーミ人に詳しくない人でも、映画を見ていくうちにこの地域のサーミにとってのトナカイの重要さが理解できるようになると思われる。
  • 物語冒頭に「フィンランドに行ったことがあるか?」という会話がなされるが、国境封鎖に関することだと思われる。
  • 自らもサーミであり、サーミの文化に多大な影響を及ぼしたスウェーデン人牧師ラエスタジアスを、スウェーデンの人気俳優ミカエル・ニクヴィストが演じる。
  • そのラエスタジアスから言葉をかけられ目が覚めるマチス。このシーンはちょっとカルトっぽい。
  • 衣装、住まいであるテント、トナカイの放牧など、サーミの文化満載。
  • エレンを演じる Anni-Kristiina Juuso はサーミであるフィンランド人女優。ロシア映画 The Cuckoo (2002) でもサーミの主人公を演じる。
  • 監督であるニルス・ガウプもサーミ人で、この映画になみなみならぬ情熱を燃やしたのか、実際にカウトケイノでロケをしたらしい。
  • 主題歌をうたう Mari Boine もサーミ人。徹底している。

追記

この映画を見るまでは知らなかったのですが、この物語は1852年に実際におこった Kautokeino uprising(「カウトケイノの反乱」とでも訳す?)という事件を描いたもので、この事件はサーミに関するアーカイブでも重要な扱いのようです。この 事件に関して中心的に語られる人物としては一般的には Mons Somby と Aslak Hætta のようですが、この映画では Ellen Aslaksdatter Skum という女性が主人公だといえるでしょう。
サーミの歴史に関する映画ということで、サーミのノルウェーへの同化政策上での摩擦とか、サーミ人への差別から起こる問題とか、そういったサーミ独特の事 件として描かれているのかと思いきや、実際に見て取れるのは宗教・宗派間の摩擦、権力と下層階級の衝突、金持ちと貧乏人、都市に生きる人間と自然の中に生 きるものたちの対立などではないでしょうか。
そうはいっても、これだけサーミに関するものが集まった映画は多くないし、この事件のことを知ることができたりして、映画を見ることは勉強になるなと改めて思わせた1本でした。

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